岩井俊二『ウォーレスの人魚』
ダーウィンと同じく〈進化論〉を唱えたイギリスの博物学者ウォーレスは、『香港人魚録』という奇書を残して1913年この世を去る。2012年、セントマリア島を訪ねた雑誌記者のビリーは、海難事故で人魚に遭遇する。マリア一号と名付けられたその人魚は、ジェシーという娘に発情してしまう。2015年、沖縄の海で遭難した大学生が、海底にいたにも拘わらず、3ヵ月後無事生還する。人間はかつて海に住んでいたとする壮大な説を追って、様々な人間達の欲求が渦巻く。進化論を駆使し、今まで読んだことのない人魚伝説を圧倒的なストーリー・テリングで描く渾身作。 (Amazon内容紹介より)
最初にこの本を読んだのはもう何年も前。『ACRI』という映画を観て、その後、原作はあの岩井俊二監督らしい(わたし岩井監督の大ファン)と聞いて、この本を探して読んだ、という記憶がある。
でも、あとがきを読んで分かったことだけど、そもそもは映画『ACRI』の脚本として書いていたそうだけど、その後、脚本は別の方に変わったらしい。
だからこの小説は、映画とはまた別の、岩井俊二監督独自の解釈の人魚伝説に関する書物、という感じ。
進化の過程で、人類は地上から再び、海へ還った人類(ホモ・アクエリアス)と地上へ残った人類(ホモ・サピエンス)の二手に別れた。
この本を読んだ当時は、進化論やら生物学やらに、少しばかり興味を持ち出した時期だった、というのもあって、もちろんフィクションだということは理解しつつ、夢中で読んだ。
この本を読み終わった時、人魚は、本当にどこかでひっそりと暮らしているんじゃないか、と信じたくなった。
だって、まだ行ったこともないどこかの知らない星に宇宙人が存在している、っていう説よりも、遥かに信憑性があるじゃないか!
と、その当時のわたしは思っていた。もちろん、誰かに話したところでバカにされるだけなので、自分の心の中だけに留めておいたけど。
物語の中で、海原密は、自分が人魚だと知らされて愕然とする。そしてまるで死を宣告されたみたいな気持ちになる。
わたしだったらきっと、めっちゃ喜ぶ(笑)
え?わたし人魚?ホントに?じゃあ泳ぎめっちゃ上手いってことよね?じゃあ深海とか行けちゃう?
(バカなのかな?)
だけどフィクションだと分かってても、もしも、進化の過程のどこかで「よし海へ還ろう!」って思う人類(になる前の類人猿とか?)がいたら、そしたら人魚は存在してたかもしれないのに、って思わずにはいられない。
もしもドラえもんがいたら過去にタイムスリップして、海へ還るように、上手いことそそのかすことも出来たのになぁ。
いやでも、海はまだまだ未知の部分が多いと聞くし、もしかしたら本当に、どこかに人魚はいるのかもしれない。宇宙人が存在してる可能性があるなら、きっと人魚だって可能性はあるはず!(謎)
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